北海道旅行4日目-北きつね牧場
昨日は美瑛を経て北見まで辿り着いた。
どうにも全快とはなっていないらしい体を起こし、時刻を確認すると11時を指していた。
まぁ昨日一昨日はかなりタイトなスケジュールで動いてたから仕方ないかと思い、支度を済ませる。
起きてから最速で準備を済ませていれば1時間ほど早く到着できたらしいが、自分は疲れているのだ。
そしてキツネに癒されに行くのだ。
観光にスケジュールを詰め込みすぎて疲れるみたいなことは御免被る。
そんなこんなで次発は12:40頃。
現在時刻は12時頃。
遅めの朝飯にするかと2つ先のバス停まで歩いて、これ以上進んで人気店に行くと次発に乗り遅れるだろうことに気付く。
そんなわけでそこらのラーメン屋に入った。
なんとなく醤油ラーメンを頼んだが、普通に美味かった。もし自分がここに住んでいたら「いつもの味」になってそうだ。そんな味。つまり平凡。
…あとで口コミを見るとラーメンはそこまでだが、餃子のクオリティが天元突破とあった。
ミスったと思う反面、今からキツネに会いに行くのにニンニクの匂いを纏うのもどうかと思うので、頼まなかったのも正解だったろう。そう思おう。
留辺蘂までJRを使ってその先バスを利用すれば多少安くなるが、面倒だったのでバス一本で行くことにした。
誰もこの校名に疑問を持たなかったのか?
「坊や、どこ小出身だい?^^」
「あいのない小学校!」
「えぇ…^^;」
こうはならなかったのだろうか。ならんか。
終点近くになるとバスは自分だけの貸切だった。採算大丈夫なんだろうか。
バスを出るとき、運転手の方に声をかけていただいたので潰れないでいてほしいと思う。やっぱり旅先で声をかけられると嬉しいものだ。
それより看板が思っていたより趣深いというか、単刀直入に言ってしまえばボロくて不安になる。
あと近づくにつれ獣臭が鼻に付くのも最初は気になっていた。
そんな不安は入場と同時に消し飛ぶことになる。
犬?猫?咄嗟に頭が判断し損ねるのを感じた。
立ち振る舞いは犬だな…。あとかわいいな。
でも猫がこんな寝方してるのも見たことがあるんだよな。
あとかわいいな。
前足で首をくしくししている。
この生物を今まで見た何と同じカテゴリーに入れれば良いのだろうか。
少しわかりにくいが木の上に登っている。
跳躍力は猫のそれに近いものを感じる。
自由に振る舞っているのを見つめていたらおもむろにこっちに来た。
スマホとか手袋は持っていかれる危険があるので座り込んで撮るわけにはいかない。
それに万が一噛まれたりするとエキノコックスの危険もあるかもしれない。
あくまで彼らは隔離された自然の中で過度な干渉をされずに育っているのだ。
それにしてもかわいいな。
…たぬき?
これがキツネか。
冬のもこもこした姿はキュートで、夏のシュッとした姿は狡猾なイメージにぴったりの姿だ。
ならば、今、秋はどうだろう。
狡猾さとキュートを併せもったあざとい生物の爆誕である。
いつしかこの不思議な生き物に釘付けになっていた。
寄生虫や諸々の危険がなかったら存分にもふもふしたい。抱きしめたい。とてもかわいい。
…。
…ここは天国か?天国なのだろうか?
天使はキツネの隠語だったのだろうか?
天使の悪魔は、つまりキツネの悪魔だったのか?
北見からは天国直通のバスが通っているのだろうか?
あの運転手さんは死神とかだったのだろうか?
とにかくかわいいことは事実である。
餌食っとる…。
かわいいね。
…!こっち見たァ!なァ!こっち見たァ!キャッキャ‼︎
成人男性(21)、声帯を潰された子供みたいにはしゃいでいる。
気付くと1時間が経っていた。
百聞は一見に如かずと言うが、まさか餌だけじゃなくて人間の時間も食うとは思わなかった。
色んな意味で恐ろしい生物である。
後光差すタヌキ。
キツネとタヌキって敵対関係にあるのかと勝手に思っていたが、気にする様子もなく暮らしている。
あと気持ちタヌキの方が獣臭がキツい気がする。
よく寝る前に「あぁ〜…フゥ」って一息つくことがあると思うが、タヌキもやってた。
なんというか行動がおっさんっぽい。
だがかわいい。
互いの存在を当然とばかりの自然体である。
これから犬派猫派論争に巻き込まれたら狐派って答えるヤバいやつになろうと思います。
あまりのかわいさに2時間が溶けていた。
これ以上滞在しているとバスがなくなってしまうし、わずかに残った理性も時間と一緒に食われてしまいそうだった。
そんなわけでなくなく牧場から去ることにした。
つい買っちゃった。かわいい。
お土産のレパートリーも豊富で、ヤクザの事務所にありそうな雄鹿の剥製や、熊の剥製が6桁の価格で売られていた。
果たしてこれから購入されることはあるのだろうか。
留辺蘂行きの最終バスは17:03発。
あと40分ほどあるが、隣の水族館は満喫するには少し足りないだろう。
道の駅併設の土産屋と屋台で軽い夕食を取ることにした。
名物の白花豆ソフトクリーム。
優しい甘さと口の中でほろっと崩れる食感が美味しかった。
物珍しさ以上の美味しさがあった。
いかあげやき?普通にうまい。
あとイモモチも食べた。うんめぇ〜。
そもそも日が落ちかけで気温もあまり高くなかったので温かさが体に染みる。
ポツンと一本、夕陽を受けて色付く姿がとても綺麗。
結局バスが来る頃には日が落ちていた。
心の中でキツネに手を振り、温根湯の地をあとにする。
30分程度で留辺蘂に到着。
特急の到着まで1時間ほどあるが、北海道にしては良心的な時間である。
待合室では、地元の高校生が地域のマップを作成し、道路や設備の改善を要求する住民インタビューが掲載されていた。
中でもコンビニを増やしてほしいとあったのは切実に感じた。
かくいう自分も駅から400m離れたセイコーマートに行くのも面倒で、結局駅舎でしばらく特急の到着を待つことにした。
先発が止まってた。
駅から数メートル先が暗闇なの怖すぎる。
猛獣が出ないことを祈るばかりである。
定時より少し遅れて札幌行きの特急が到着!
札幌には23時頃の到着らしい。
切符の確認と、遠軽での座席入れ替えを済ませると意識が遠のいていくのを感じた。
爆音のチャイムで札幌到着を知らされ、慌てて下車の準備を済ませる。
今日も快活クラブに泊まるべく歩く。
ライトアップされる時計塔は結構綺麗だし、何より時刻がわかって便利だ。
明日の出発予定時刻は6:48。
寝られるのは6時間にも満たないことを目の当たりにして多少の不安を感じたのを覚えている。
そんな不安も飯を食って眠気に襲われればすぐさま吹き飛ぶ。
快活クラブの素晴らしいのは、すぐそこにラーメン横丁があること。わずか2分のアクセスである。
バターコーン味噌ラーメンをいただき、しばしの休息を取るべく、今日の宿泊地に戻るのであった。
愛くるしい動物と小さな秋を堪能し尽くした1日だった。
キツネ、かわいい生き物。覚えた。